発表会に病院送りにされた男

大学の課題の発表会に病院送りにされた

 

……?

 

 ぼくの学科では4年次にグループワークが課されることが昔からの伝統となっており、その過酷さについては、みな学生実験の頃からTAの方々や先生方等より聞き及んでいるところとなっている。その課題について尋ねると、聞く人聞く人が「やー、発表の前は先輩巻き込んで連日徹夜で作業したよ(笑)」などと冗談半分で下級生を脅しにかかるものだから、4年生はビビりまくった状態で研究室に配属されることになる。

 そんな中、ぼくなんかはヒネクレているので(まー、誇張してるだけでしょ。苦労したアピール乙)などと高をくくっていたし、実際てきとーに力を抜きながらやれば特に全然大したことはなかった。インターネットでよく見かけるブラック研究室に比べれば拘束時間も問題にならない感じだった。

 しかしさすがに発表一週間前くらいになると徐々に忙しくなり始め、朝から晩まで研究室にいて家には寝に帰るだけ、という状況になってきた。前々日は3時間睡眠、前日は完徹、という状態でフラフラしながら発表に臨んだ。教授の質疑応答なんかも相手が何言ってるか全くワケワカンナイ状態で適当に流していた。

 そんなこんなで死にかけながら発表を終え、昼休みに研究室に戻ろうとして、気付いたら口の中で唾が全く出なくなっておりそのまま倒れこんで病院に運ばれた。病院では色んな検査をしたが、全部の値が正常だったようで過労と結論付けられた。そのまま点滴をしているといくらか楽になって、帰宅できた。

 やっぱり駄目だよ、根詰めたり頑張ったりなんかしたら。人間っていうのはね、いい加減に流して生きるのが自然で正しいことなんだ、と再認識するに至った。そういう意味でこの経験を糧にしていきたい。

 あと、これからは「あの課題は疲労のあまり病院送りにされた先輩がいるくらいヤバイ」という闇の噂がさらに下級生たちを震え上がらせることになるかもしれないと思うと面白い。